南スーダンからの自衛隊の撤収が決まった。日本政府として国連PKOに行っている唯一の貢献であっただけに、私個人の思いとしては、大変に残念だ。
私の専門は平和構築活動であり、私個人としては、国際平和活動に従事している方々に敬意を持ち、応援をしたいと思っている。そういう観点から言えば、この段階での撤収は、残念である。
そのようなことを言うと、日本国内では、危険な任務に就いている自衛隊員に失礼だ、ということになるのかもしれない。しかしUNMISS(国連南スーダン共和国ミッション)は、1万5千人以上の要員が、困難な任務のために派遣されて献身的に勤務し続けている巨大ミッションだ。1万2千人以上の軍事・警察要員だけを見ても、60か国以上から集まっている。彼らは今後も困難な状況の中で任務を遂行し続ける。350人の自衛隊員が、「道路を造り終えた」という理由でいち早く撤収してくるのを、手放しで喜ぶという気持ちにはなれない。少なくともとても外国人に見せられるような姿ではない。
しかし、私も日本人の端くれである。これが日本社会のぎりぎりの落としどころだ、ということが、わからないわけではない。残念だが、仕方がない。これが日本だ。
これまで自衛隊の撤退を要求する人々は、常に抽象的かつ非現実的な言い方で、「自衛隊ではない平和への貢献の仕方があるはずだ」、と言い続けてきた。明日も多くの人がそういうことを言うだろう。気楽である。誰も具体的な方策に関心がないのだから。抽象的かつ非現実的な言い方で、「日本政府は、自衛隊派遣以外の方法で、早く南スーダンを平和にするべきだ」、と言い続けておけばいい。それで日本社会ではOKである。
これまで自衛隊の撤退を要求する人々は、南スーダンは危険地だ、紛争地だ、ジェノサイドが起こる、と様々なことを言ってきた。しかしそれもせいぜい5月までの話だろう。そうすれば日本では誰も南スーダンの話などをしなくなる。少なくとも余程の事件でも起こらなければ、ニュースなどで取り上げられる可能性も皆無だろう。
率直に言って、残念である。
全世界の16の国連PKO要員約12万人に、125か国が制服要員派遣の貢献を行っており、日本は54位であった。5月以降は、最下位に近い順位に落ちることになる。そして近い将来、そこから回復する見込みは、ない。
コメント
コメント一覧 (11)
政治学者を自称してさぞ満足でしょうが、そこがあなたの限界ですよ
「敬意を持ち、応援をしたい」程度のPKOに対する外野意識を披露しているようでは、あなたが現場の苦労や不安を理解していないばかりか、あなた自身が理解していないということ理解すら理解できない、という無知の上塗りを晒しているだけです。
あなたはこの記事で、現場のPKO要員の生命の危険と「とても外国人に見せられるような姿ではない。」などとあなた自身の羞恥心を天秤にかけています。
つまり、あなた自身の国家アイデンティティと結びついた自尊心を傷つけられる(日本人として恥ずかしい)から、多少PKO要員に生命の危険はあろうとも撤退はやめてほしい、ということですよね。
私から見れば、あなたのような人間の存在が同じ人間として恥ずかしい限りです。外野から好き勝手なことを言って悦に入る自分の浅ましさを猛省すべきです。
あなたに子があるかは知りませんが、もし自分の子がPKOで現地に派遣されたとしても同じことが言えるのか、それぐらいは想像できるのではないでしょうか。
「気楽である。」などと書いてますが、あなた自身の気楽さに思いを致すところから始めた方がいいと思いますよ。
(2) 他人の身分がそこまで気になるならお教えしますが、私は自衛隊員です。あなたが奇異だと感じるのなら好きになさい。
あなた程度の人間が南スーダンや自衛隊の派遣活動に思いを馳せるのは分不相応です。自分のブログのコメント欄を気にするほうがお似合いです。
あの、、、反対意見そのものは構わないと思うのですが、自衛隊の方々は自身の自由意志によりその道を選んでいる訳ですよね?上記の言葉はまるでいまの日本が徴兵制であるかの様に聴こえるのですが。
http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/shinoda/shino/keireki.htm
「ボランティア」の部分だけ抜き出してもこんな感じです。
1996年6月 難民を助ける会ボランティアとして同会地雷撤去支援事業調査のため英国にて専門NGOの調査
1993年9月-1994年8月 難民を助ける会ボランティアとして英国にて英文図書収集事業運営、及び、ザンビア内アンゴラ難民キャンプにて図書贈与式出席
1993年8月 難民を助ける会派遣ボランティアとしてジブチにてエチオピア及びソマリア難民救援事業従事
1993年2月-3月 難民を助ける会派遣ボランティアとしてカンボジアにて帰還難民支援事業従事
1991年4月-1993年3月 難民を助ける会「ゆうあい塾」教師として在日ベトナム難民学生への英語指導ボランティア
1992年8月 難民を助ける会派遣ボランティアとしてジブチにてエチオピア及びソマリア難民救援事業従事
1992年4月 あすか財団主催米国フィランソロピー活動研修旅行参加
1992年2月-3月 難民を助ける会派遣ボランティアとしてイラン国境地帯にてクルド難民救援事業従事、あわせてカスピ海沿岸地域地震被害後の公共施設復旧支援事業従事
1991年9月 難民を助ける会主催タイ国境地帯カンボジア難民キャンプへの研修旅行参加
1991年7月-8月 難民を助ける会派遣ボランティアとしてイラン国境地帯にてクルド難民救援事業従事、あわせてカスピ海沿岸地域地震被害後の公共施設復旧支援事業従事
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私はそういうのを「ジェシカ・エドワーズ論法」(元ネタわかる人は判る)と呼んで、そもそも無効だと思っていますが、そのジェシカ論法をとった場合には、相当な経歴の方を除き、自衛隊所属者を含め9割以上はこのブログの書き手に敵わないのでは?
ぼくは「そうかなあ。それは無関係じゃないかな」と思いました。
おわり
『外野から好き勝手なことを言って悦に入る自分の浅ましさを猛省すべきです。』
・・・コメントをする前に、筆者がどのような経歴を持っているのか知るべきですね。
それができないから「外野」などと無知に裏付けられた印象論で批判を行っているのでしょうが。
私はブッダです。
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