本来であれば、南スーダン情勢それ自体の話をしたいのだが、一般読者層の意識を考え、また誰もこういう論じ方をしていないことをふまえて、あえて日本外交の観点から考えてみた。
なぜ日本人がアフリカのために働かなければならないのか?という意見も、現実には日本社会で支配的だ。それも一つのストレートな意見だとは思う。世の中には、「自衛隊以外の手段で南スーダンを平和にしよう(具体的なことはわからないが)」といった言い方を好む人も少なくない。それと比べれば、「アフリカに日本人を送るな」という立場は、まだわかりやすい。
だが明快な立場であるならば、それはそれでやはり一貫性は求められる。「アフリカは嫌だ、PKOはやらない、ところで早く常任理事国になるべきだ」といった話は、さすがにもう論外だということを、多くの人は気づいているとは思う。だがそれでもまだ、「日本はそれでも世界で尊敬されている国際貢献大国だ」とか、「援助の量は少なくても質では中国に負けていない」、といった言説を、日本人の方の口から聞く機会がまだある。そういうことを言う人は、もっと数多くの途上国を旅行し、国際会議に出たほうがいい。
特に未来ある若者であれば、現在の世界は10年前の世界とは全然違う、5年前と比べても全然違う、ということに早く気づかなければならない。
ほんの15年ほど前、何人かの冷静な日本人だけが、中国のGDPが日本を抜き去る事もありうる、などと指摘していた。7年ほど前、それが現実になったとき、多くの日本人が衝撃というよりも、とまどいを覚えていたように思う。2016年のGDPで言うと、日本は約4兆ドル。中国は約11兆ドル。若い方だけでもいい。今年中には、日本のGDPは中国の3分の1です、という言い方を始めなければならない。
そういう自己認識の中で、日本が国際社会の中で生き抜いていく方策を考える必要がある。
コメント
コメント一覧 (2)
日本の土木技術は高度で国際貢献に適していると思います。しかも、建設会社や建設コンサルタント会社は、ODAの現場で社員を事故や病気で亡くしながらも、撤退することなくやって来た歴史があります。
非常に素朴な疑問なのですが、ODAよりもPKOに拘らなければならない理由があるんでしょうか?そこのところが分かりません。
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