テレビのワイドショーのPCR信仰に国民が洗脳されていると見た方々が、54兆円かけてもPCR検査を全国民に施せば安心が得られる、という「国民運動」を起こそうとしている。この動きの危険性については何度か指摘した。http://agora-web.jp/archives/2045987.html http://agora-web.jp/archives/2046051.html
こうした考え方による「平和ボケ」と言ってもいい現実感覚の喪失が、たとえば「政府は新型コロナウイルス感染症の収束をにらみ、抗体検査やPCR検査によって非感染が確認されたビジネス渡航者に「陰性証明書」を発行し、中国などへの渡航を容認する方向で検討に入った」、といった雰囲気を生んでいるのだろう。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200515-00000170-jij-pol
いくら出国する際に陰性である可能性が高いとしても(ただし何日も前の検査ではそれも怪しい)、帰国してきた際の陰性が証明できなければ、日本のリスクは高まる一方ではないか!
すでに『現代ビジネス』でも書いたが、非常に重要なので、何度も書きたい。
空港での検疫体制の充実こそが、今後の新型コロナの蔓延の抑え込みと社会生活活動の回復にとって、死活的に重要な国益である。
54億円全国民検査は重要ではない。出国する前に検査をしてあげることも重要ではない。帰国する者・入国する者が陽性でないかどうかを識別する体制を持続可能なものに高めることこそが、死活的な国益である。
現在の日本の劇的な新規感染者数の減少は、国民の多大な努力によって成し遂げられたものだ。しかし3月中旬の海外入国者の停止が、減少を可能とする大きな土台であったことも、間違いない。逆に言えば、3月下旬に見られた急激な新規感染者数の増加は、相当程度に海外からの帰国者によって作り出されたものであることが、すでにわかっているはずだ。
こういうと「二週間の自宅隔離をお願いするかもしれません」と言った反応をするのかもしれない。だがそんな誰が守るのか定かではないその場限りのお願いが対策になるのであれば、今までだって渡航制限などかける必要がなかった。
実は現在は、限定的な形で入国してくる者の数が少ないため、対象者全員にPCR検査を行っている。だが、そのため対象者は4月の帰国者が多かった時期は数日を空港の段ボールベッドで過ごし、当時は話題になった。このやり方では、入国者が増えた際に、全く持続可能ではないことが明らかである。
やむをえなければ、待機宿泊施設の大幅拡充も仕方がないのかもしれないが、そうだとすればそこに資源投入することも「空港におけるPCR検査体制の充実」の不可欠の一部となる。
あるいは従来のCTスキャンをはじめとする複数の簡易検査方式を全員強制とし、二段階・三段階方式で陽性者を入国時に識別する検疫体制の確立が代替案になるのであれば、それを研究するべきだろう。その場合でも施設面への影響は少なくないと思われるので、信頼できる相手国とは搭乗時における検査の証明をもって入国許可とする相互協定を結んだり、航空機内での検査と待機を可能にしたりする措置などが必要になるのではないか。
いずれにせよ、空港での検査体制の確立がなければ、緊急事態宣言下の国民の努力も水の泡である。水際対策を効果的に行うために、財政・施設・人員を戦略的に配分し、集中的に精緻なやり方で検査体制を充実させていくことこそが死活的な国益である。
私は国際政治学者としてかなり頻繁に海外出張をする生活をしていた。世界中の航空会社が苦境に喘いでいる現状は、私にとっても辛い。しかし全世界で460万人以上の感染者がいる現実から目をそらし、「日本国内の新規感染者数が減った」「このビジネスマンは一週間前の検査で陰性を出した」といった理由で機械的に平時の人の移動を復活させるのは、「平和ボケ」以外のなにものでもない。冒険的な方法で人の移動を回復させることは、航空会社にとっても決定的な致命傷をつくりかねないリスクを抱えることを意味する。
航空券に「検査税」を上乗せしてでも、空港における義務的な厳重検疫体制の充実を図り、それをもって航空路を使った人の移動の回復の条件とするべきだ。
PCR信仰者たちの机上の空論に惑わされ、かえって危険な「平和ボケ」に陥ることを警戒してほしい。ポスト緊急事態宣言の時代においてこそ、いよいよ本格的に、徹底して戦略的に資源投入して合理的な政策をとることが求められてくる、ということを肝に銘じてほしい。
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ところが、テレビを見ていると、「平和ボケの日本」では、話題の中心は、検査を増やす話と開発中のワクチン・薬の話ばかりである。客観的に見た時、検査とワクチン・薬には長所ばかりではなくて、検査の精度、ワクチンや薬の副作用など問題点もあり、本当にそれが現実に使用可能か、についても考えなければならないのに全くその言及のない日本の報道姿勢は異常だ、と思っていたら、Spiegel誌に心理学者Cornelia Betschさんのインタビュー記事があったので、紹介する。彼女はErfurt大学で心理学を学び、ワクチンにする懐疑心の動機を調べている。現在彼女は「Cosmo,Covid19 Snapshot」のモニタリングプロジェクトの発起人で、アンケート調査をして、ドイツ社会がコロナ危機をどう認識しているかを調べている。
https://www.spiegel.de/gesundheit/diagnose/cornelia-betsch-verschwoerungstheorien-und-impfgegnertum-hingen-schon-vor-corona-zusammen-a-acf0ec6d-abff-4d6e-b8d6-9b055c5c4e60
Spiegel: 健全な懐疑、とはなにを意味しているのですか?
Betsch: ワクチンは安全性が中心にこなければなりませんが、この新しいワクチンについて私たちはあまり知りません、というのもまだないからです。あらゆるワクチンについてワクチンの危険性と病気の潜在的な危険性を慎重に考慮検討しなければなりません。それを科学者、許可官庁、常設のワクチン委員会が行っています。もちろん、国際的な多くの専門家委員会も。多くの人は、この専門家の評価を参考にしますが、違う人もいます。これが、はしかを除く今のワクチンの規律なのです。
Spiegel: このワクチン義務についてあなたは導入の前から批判されていました。だれが、現在この予想されるコロナワクチンの接種を拒絶している、つまりあなたと同意見ですか?
Betsch: 興味深いことは、男性の方が女性よりもワクチンを接種したい、と言っています。というのも、男性の方が女性よりも重症になる確率が高いからです。人々は現在、この病気についてよく知っています。
日本人の普通の人が、正しい判断を下すことができるために、我々が、よくCovid19をよく知ることができるような客観的な情報を、マスコミの人自体がよく勉強をして、責任をもってメデイアを通じて与えるべきだと私は思う。それとも視聴率優先のマスコミの人には、その自浄能力さえもなくなってしまったのだろうか。
お詫びし、訂正いたします。
54兆円ではないでしょうか?
篠田先生のおっしゃるこの空港の検疫体制強化、これこそ重大事だと安倍首相に理解してほしいです。だれか発言力のあるひとに官邸に届けて欲しいです。
私は新聞社でのデスク経験から、日頃夙に感じていたことを率直に申し上げれば、篠田さんの本欄のタイトルの命名は、お世辞にも上手とは言えない。著書を何冊も上梓され編集者との遣り取りの経験は豊富だと思うが、餅屋は餅屋の譬え通り、彼らの経験や助言に、本欄のような個人的ブログでも学ぶことをお勧めする。
そうした観点から分析すると、主題の「PCR検査信仰は『平和ボケ』」と、副題の「空港での検疫検査の充実こそが死活的国益」が、議論の中で充分接合していない(「検疫検査」という表現も冗語で、単に「検疫体制」でよい)。
冒頭の⇒【テレビのワイドショーのPCR信仰に国民が洗脳されていると見た方々が、54兆円かけてもPCR検査を全国民に施せば安心が得られる、という「国民運動」を起こそうとしている】というのは、偏執狂の老媼のような誇大妄想とは言わないが、誇張が過ぎる。
私はほぼコロナ禍一色の情報番組をほとんど観ない(ラジオ代わりに流して聴いていないわけではない)が、「PCR信仰」というほど狂信的に検査を対策の決め手と信じ込み、その効用を喧伝しているわけでもない。
篠田さんも『現代ビジネス』などの別論考でも一部指摘する通り、必要性は認識されながら一向に改善されない状況を探るなか、できない理由ばかり並べて本当の理由を明らかにしてこなかった、主に厚労省の対応や説明を批判し、医療関係者らの声を代弁しているだけだろう。
後段の防疫上の水際対策として検査体制を強化するべきという趣旨の議論には賛同する。しかし、それは規模や効果も含めて各種の議論があるPCR検査拡充の必要性の議論とは分けて考えるべきだ。
そして、現実(τὸ γιγνόμενον)というものは常に変わっていくものだ。
篠田さんが精魂傾けかかわって平和構築の現場はもとより、そのための人材育成を含めて停滞を余儀なくされ苛立っていることは理解できるし、コロナ狂想曲、コロナファッショの様相を呈している世の空気に違和感を覚えていることも容易に察することができる。
しかし、いきなり「平和ボケ」のような悪罵を投げつけても詮ないことだ。メディアは国民の関心を誘導し、つくり出す側面がないとは言えないが、多くは下らないと自嘲しても国民のさまざまな関心に寄り添って報道したり、世論喚起の先導役を担ったりする。
その点で、たとえ「同床異夢」であっても、メディアと国民は同類であり、いたずらに(μάτην)批判しても、それは「平和ボケ」していようと、中国などとは異なり、平均レベルで世界有数の民度を誇る国民性と不可分の面をもつから、自分の影に吠えているようなものだ。
経済界を中心に速やかに社会経済活動の再開を実現したいという思惑があり、所詮は自粛レベルとは言え、いきなり日常生活の変容を強いられた国民の中にもさまざまな思いがあるから、何んとかして不安解消材料や不満の吐け口を求めたい空気が充満しているが、それはメディアの狂騒を批判すれば済むことでも、メディアが政治に悪影響を及ぼしていると過大評価することでもあるまい。
⇒【全世界で460万人以上の感染者がいる現実から目をそらし、「日本国内の新規感染者数が減った」…といった理由で機械的に平時の人の移動を復活させる】べきとのめり込む「平和ボケ」の人間など、大半のメディアにも見当たらず、一部の極端な例だろう。
以下は、感染者2.5万人以上の主要国の致死率(括弧内は前回5月8日と順位=丸囲み数字。☆感染者数★死者数、人口=2019年推計値[単位1,000人]=10万人当たりの死者数、順位/15日午後8時現在)
①ベルギー⇒16.40%(①16.38%=☆54,644←★8,959=11,539.3=➊77.64)
②フランス⇒15.33%(②14.87%=☆178,870←★27,425=65,129.7=❺42.11)
③英 国⇒14.42%(②14.81%=☆233,151←★33,614=67,530.2=❹49.78)
④イタリア⇒14.06%(④13.88%=☆223,096←★31,368=60,550.1=❸51.81)
⑤オランダ⇒12.86%(⑤12.66%=☆43,481←★5,590=17,097,1=❼31.70)
⑥スウェーデン⇒12.35%(⑥12.35%=☆28,582←★3,529=10,036.4=❻35.16)
⑦メキシコ10.51%(*10.00%=☆42,595←★4,477=127,575.5=⑰3.51)
⑧スペイン⇒10.01%(⑦10.15%=☆274,367←★27,459=46,736.8=❷58.75)
⑨カナダ⇒7.45%(⑧6.79%=☆73,401←★5,472=37,411.000=❿14.63)
⑩ブラジル⇒6.89%(⑨6.77%=☆203,165←★13,999=211,049.5=⑮6.63)
⑪スイス⇒6.14%(⑫5.99%=☆30,514←★1,874=8,591.4=❾21.81)
⑫イラン⇒5.98%(⑩6.29%=☆114,533←★6,854=82,913.9=⑬8.27)
⑬米 国⇒5.96%(⑬5.95%=☆1,457,649←★86,912=329,064.9=❽26.41)
⑭中 国⇒5.59%(⑭5.59%=☆82,933←★4,633=1,433,783.7=⑲0.32)
⑮ドイツ⇒4.53%(⑮4.36%=☆174,975←★7,928=83,517=⑫9.49)
⑯ポルトガル⇒4.18%(⑯4.14%=☆28,319←★1,184=10,226.2=⑪11.58)
⑰インド⇒3.22%(⑱3.35%=☆82,264←★2,649=1,366,417.8=⑳0.23)
⑱ペルー⇒2.81%(⑲2.78%(=☆80,604←★2,267=32,510.5=⑭6.97)
⑲トルコ⇒2.77%(⑳2.72%=☆144,749←★4,007=83,429.6=⑯4.80)
⑳ロシア⇒0.92%(*0.92%=☆262,843←★2,418=145,872.3=⑱1.66)
▽エクアドル7.67%(30,502←2,338=*13.46)▽インドネシア6.48%(16,496←1,076=*0.40)▽ルーマニア6.42%(16,437←1,056)▽アイルランド6.32%(23,827←1,506=*30.84)▽ポーランド5.00%(17,850←893)▼日本4.38%(16,193←710=*0.56)▽オーストリア3.90%(16,108←628=*7.01)▽ウクライナ2.75%(17,330←476)▽パキスタン2.16%(37,218←803)▽イスラエル1.60%(16,589←266=*3.12)▽バングラデシュ1.49%(20,065←298)▽チリ0.994%(37,040←368)▽UAE0.987%(21,084←208)▽サウジアラビア0.60%(46,869←283)▽ベラルーシ0.56%(26,772←151)▽シンガポール0.078%(26,891←21=*0.36)▽カタール0.050%(28,272←14)――である。
他に補足的参考に、▽フィリピン6.66%(12,091←806)▽エジプト5.27%(10,829←571)▽韓国2.36%(11,018←260=*0.51)▽南アフリカ1.87%(12,739←238)▽マレーシア1.63%(6,855←112)▽オーストラリア1.40%(7,019←98)▽ベトナム0.00%(312←0)。
ざっと眺めたところ、致死率、10万人当たりの死者数でもベルギーの惨状が際立っている。このところ急速に感染者を増やしているロシアやブラジル、さらにバングラデシュなどの途上国、致死率上昇が止まらないフランス、カナダと、それぞれ事情はあろうが、現状程度の感染者数での日本の致死率4.38%は欧米諸国よりましなだけで手放しで成果を誇れる水準ではないが、何と言っても10万人当たりの死者が少ない(0.56)ことが、目下の小康状態を物語っている。
この踊り場がどこに向かうか、われわれは確かな判断材料をもたない。
☆訂正 前項15日・19でカロリーネ氏の誤記と指摘した『民主主義の擁護』(“Verteidigung der Demokratie”)という小冊子が存在する(岩波文庫版『民主主義の本質と価値』に併載)ので訂正し、お詫びする。
現在の国際社会の疫学的な知見は、コロナの初期症状は、5月15日コメント8,9に書いたようにshinodahideaki.blog.jp/archives/35139617.html 多種多様にわたり、味覚障害、臭覚障害、胃痛、胸のいたみ、皮膚のはれ、頭痛、青いつま先まであるのに、ワイドショーでは発熱だと勝手に断定し、発熱外来に必要性を説き続けているし、重症者は5月14日コメント46に書いたようにshinodahideaki.blog.jp/archives/35116354.html 感染の震源はほぼいつも肺であるが、ウィルスは他の器官や組織にも影響を与える。心臓、脳、腎臓、腸。最悪の場合は体全体に。免疫システムが制御できない状況に陥ると、サイトカイン状態となり、患者は死亡する。多臓器不全という形で、なのに、いつまでも重症者は肺炎で、ECMOや人工呼吸器のことばかり取り上げる。また、基本となる数字も、岡田博士に習って、陽性率や実効再生産数だけを問題にしているが、これは一時のものである。現実はスーパースプレッダーが、その動向を握っている。そして、エアゾル感染が注目されている。韓国、ソウルのクラブで160人の集団感染がでたことが、そのことをなによりも表している。いくら大量のPCR検査をして、努力して陽性率や実効再生産数の値を下げても、一人スーパースプレッダーがいると、数日で数値は悪化してしまう。
Studie zu Aerosol-Viruswolken Dicke Luft im Restaurant
エアゾルーウィルスの雲の研究 レストランの厚い空気
https://www.spiegel.de/wissenschaft/medizin/covid-19-belastete-troepfchen-machen-geschlossene-raeume-zu-infektionsherden-a-7522885d-7553-4acc-ac5d-ac603552ed06
ごくわずかな浮遊物が、密閉空間では今まで考えられていたより多くの人に感染させる、と米国の研究者は推測している。それは、レストランや喫茶店での感染をひき起こしている可能性がある。
Susanne Götze筆 15.05.2020, 17.23 Uhr
コロナウィルスのパンデミーの2か月以上の日常で、ルールがだんだんと形作られた、ソーシャルデイスタンス、手を洗う、消毒液を使えば、多くの人がCovid19に感染することが防げる。けれども、それは真理の半分である。
ウィルスの感染拡大が複雑なしくみであるという最初のサインは、3月初めからあった。小さな都市、Mount Venon、シアトルの北で、61人の聖歌隊が教会に集まった。害のないコーラスの練習で、「スーパースプレッダー事件」がおこったのである。細菌学者は、一人のウィルス感染者が並外れて多くの人々を感染させたとき、「スーパースプレッダー事件」と名付ける。
消毒剤もあり、距離も取っていたにもかかわらず、Covid19に感染していた一人の合唱団員が合唱団全員52人に感染させた。3人が入院を余儀なくされ、2人が亡くなった。
同じような事件がベルリンのドーム合唱団でも起こった。ほぼ80人が合唱に参加したが、その後30人がPCR検査の結果陽性であった。ドーム事件はその後、一つの空間に長い間滞在していると、離れて座っていても感染することを示した。このことは、最近の学問的知見に近い。
実験はしめ切った空間で被検者が25秒間大きな声で「stay healthy!]
を繰り返した。この文言にしたのは、英語のthは、つばきをたくさん空中に出す単語だからである。しずくをはかることができるように。研究チームは空間にレーザーを映写した。結果は米国の研究者の為のナショナルアカデミー(PNAS)でだけ読むことができる。-この実験条件で一人の話者は毎分1000のウィルスのついたしずくを生産した。このしずくは締め切られた空間で平均12分間空中に漂う。ウィルスが微粒子に巻き付く確率はエアゾールの大きさによって変化する。浮遊物が小さければちいさいほど、ウィルスもわずかになる。
米国の研究者により証拠がもたらされた、咳とくしゃみだけではなくて、会話でも感染させるエアゾールの雲が作り出されることを。空間が狭いほど、おしゃべりが長いほど、感染の確率が上がる。その際、十分な距離を取っているかどうかは、二次的なことになる。
息だけでも、感染させるエアゾールは排出する、とDonald Milton氏は、米国の感染症の空気生物学者はナショナル科学アカデミーのステートメントで述べている。
その各種分析を見れば、海外の流行国から水際でシャットアウトする作戦が、特に有効であることを前提としています。水際から流入したのちの、国内での接触自粛・移動制限の効果は、各種指標から限定的のよう!?です。流行対象国からの入国者(帰国者)の検査を過不足なく行うことは、国内流行時(特にオーバーシュート直前時)の検査と論点を同じにします。https://abofan.blog.ss-blog.jp/2020-05-13 以上は、この見解を参照しました。
その水際における検査を充実させるためには、検査対象者の宿泊施設・感染陽性者の隔離施設の準備です(高橋政代さんの提言から)。たぶん、いまの国は、国内防疫に忙殺されて、流行地域からの入帰国者への、水際作戦用防疫体制のための準備はしていない!!のだと思います。篠田教授の今回記事は、その提言だと理解しています。
今は日本は感染者が減っているが、それは気温が上がってきたからで、秋にはインフルエンザも流行するし、南半球からウィルスもやってくる。それに備えて日本は今のうちに、検査体制を整えなければならない。
一見もっともらしいが、これには「大嘘」がある。日本では確かに感染者の数が下がったが、他の北半球の国、米国、イギリス、フランスは下がっていない。新規感染者は相変わらず多い。また、ウィルスはウィルス単体で南半球からくるのではなくて、感染者が運んでくるのである。それを考え合わせた時、篠田教授の空港での検疫体制の充実こそが、今後の新型コロナの蔓延の抑え込みと社会生活活動の回復にとって、死活的に重要な国益である、の主張の正しさがよくわかるのではないのだろうか。
まともな人権感覚、公共の福祉の感覚を身につけないと、コロナウィルスは日本で蔓延するし、他の病気に感染するリスクが高まると考える。マスコミがまともな世論を作ることを邪魔しているのではないのだろうか。
専門家会議の発表を、ワイドショーが、岡田晴恵博士たちが打ち消してしまっている。PCR検査の疫学調査の結果、武漢からの第一の波が収束したのちに、3月の末から大量に起こったのは欧米からの第二の波だと発表された。それを日本が経済をとめて、うまく抑え込むことに成功している状況が今、なのである。今が第二の波だということは、PCR検査の遺伝子解析の結果わかったのではないのだろうか?その結果から推測されることは、篠田教授の主張されるように、3月下旬に見られた急激な新規感染者数の増加は、相当程度に海外からの帰国者によって作り出されたものであって、日本人の気のゆるみではないのである。日本の1%以下の陽性率からいって、それ以外の原因はない。そして、次に確実にやってくる第3波は、外国からやってくるスーパースプレッダーによって引き起こされる可能性が一番高いから、空港での検疫検査の充実が、死活的国益になるのである。
Covid19は、他の感染症と違って感染力が強く、リスクグループに感染すると、その感染した人が重症化することが問題なのだから、リスクグループと感染者が接触させない、対策が一番である。リスクグループはクリニックに来るのだから、そこに来させない、院内感染をさせない、ためには、経由を別にして、Covid19に感染した疑いのある人には、帰国者接触者外来を作り、リスクグループと接触しないCovid19感染者専門の病院を作り、看護者に感染させない防御服、マスクを配るのが、一番合理的なのではないのだろうか。Covid19の患者の治療をしたために、医療機関が破産してしまうと元も子もない。究極、感染者の判定、特にリスクグループと感染者の隔離、がこのCovid19の感染症対策上、一番大切だ、と私は思うようになった。つまり、信頼できる検査に則った隔離の上の隔離が一番この感染症対策に、重要なのではないのだろうか。
上記の前提を、篠田教授が説明していないために本文記事全体が、「空港での検疫検査の充実こそが死活的国益」につながっていないように見えるのかも知れません。 篠田教授は、危機管理の専門家なので、この話題(感染症の蔓延を防ぐのも危機管理)を、最近一連の記事にしているのでしょう。同じ国際政治学者の都立大学の詫摩佳代さんの『人類と病』(中公新書)の書評(読売)を、書いているのもその証左だと思います。
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