大阪都構想が、住民投票で否決された。私は、大阪に居住したことがなく、体感も知識もないため、この問題について語る準備がなく、今までSNSレベルでも言及したことがない。

 しかし、住民投票の否決によって、一つはっきりしたことがある。維新の会が、全国政党に変化する大きなチャンスが訪れた、ということだ。

 都構想が実現に向けて走り出したら、維新の会の主力は、都構想の実現の成功に向けて、多大な追加的労力を払うことになった。

しかし、否決によって、その負担がなくなった。

 余った労力は、国政への貢献にあててほしい。

 維新の会は、もう大阪都構想を実現するための政党である必要はない。全国的な視野で、地域主義の可能性を模索していってほしい。

 維新の会には、もともと外交安全保障政策に強い関心を持つ方々もいらっしゃる。新型コロナ対策では、吉村大阪府知事が、全国的な影響を与える地方自治のあり方を示した。

 地域主義の性格を捨てる必要はない。引き続き地方自治の可能性を最大限に模索する政党であるべきだ。そこは自民党との差異性を出す領域になる。ただ外交安全保障政策を中心とする分野の知見も活かして、国政レベルで活躍できる政党として発展していってほしい。

 現在の日本の政治の停滞の大きな原因が、固定支持者を固定的に確保するためだけの行動しかとらない野党勢力が、政権担当能力を持つことを放棄していることであるのは、誰でもよく知っていることだ。

 日本学術会議問題などを見ても、自民党に「弱い少数者に譲歩する大人の寛容を見せてやれ」といったタイプの批判が相次いでしまうだけなので、モンスター・クレーマー化した野党群との間で、建設的な議論が生まれる可能性が乏しくなっていることが明らかだ。

 維新の会は、この国政レベルの閉塞状況を打開する大きなポテンシャルを持っている。

 大阪都構想の否決を、ぜひ、全国レベルでの日本の政治の発展という前向きな動きにつなげる機会としてほしい。