安倍内閣の内閣支持率がだいぶ下がったということで、各方面でニュースが流れている。なぜ安倍内閣の支持率は下がらないのか、と問い続けてきたメディアが、ついに安倍政権の限界が露呈した、とほとんど高揚しながら、伝えている。
一部報道では、やはり高揚感のある野党政治家の動向を伝えるものがある。しかし近視眼的なメディアの場当たり的な雰囲気に乗せられるのは、どうかしている。良識ある野党政治家は、冷静に事態を見守り、しっかりと仕事をしてもらいたい。
政治家は、実現したい政策を実現するために政治家をやっているはずだ。ただ単に現下の内閣支持率が下がったといって喜ぶ一部の野党政治家のあり方は、理解に苦しむ。たとえ内閣支持率が変わらなくても、自分の掲げる政策に関する理解が広まったときに、喜びを感じるのが政治家のあるべき姿ではないか。
実現したい政策があるのなら、選挙に勝ちたいと思うのは、当然だ。勝つために戦略的に動くのが、当然だ。つまり次の選挙で過半数を獲得するために、選挙区割だけではなく、時間軸をとって効果的な世論喚起の方法を計算し、さらに幾つかのオプションを比較較量したうえで、日々検証しながら、現在の政策的立場を表現していくことが、当然だ。ところが、日本の野党は、そういう当然のことをやっているように見えない。
世間の人々は、戦略を持って、日々の仕事に従事している。戦略を持っていない人に尊敬の念が湧かないのは、当然だ。
強行採決を演出しようとするのも、無理がある。コンセンサス方式への信奉に訴えようとする態度は、国対政治ボケである。
そんなことよりも、政権獲得したらどういう政治をするつもりなのかを表明し、与党より優れたことを言っているという印象を国民に与えるために、審議の機会を活用すべきだ。
野党が広告代理店を雇っているといった話も聞くが、実績のある経営コンサルタント会社などを雇って成長戦略を作ることにもう少し力を入れたほうがいいのではないか。
日本の議会政治の行方には、野党が持っている責任が重い。
コメント
コメント一覧 (1)
ところで昨今の大手メディアの、価値基準の一貫性も論理的整合性もクソもないとでも言わんばかりの、ほとんどなりふり構わぬ現政権への不信煽り報道。メディアなんて前からそんなもの…と考えればたしかにそうなのかもしれないけれど、特に最近は一線を越えた開き直りすら感じられます。
そして私が少し気になったのは、どこからか聞こえてきた次のような声──メディアの報道姿勢が明らかに普通でなくなったのは、安倍首相が突然持ち出し始めた極めて具体的かつ現実的な改憲案(篠田さんが次のエントリで丁寧に解説してくださっている)が、思いのほか一般にも理解されやすそうで、今度こそ本当に改憲論議が国民レベルにまで広がってしまうのではないか、と慌てた「憲法死守」
派の重鎮たちがメディアの背後で猛烈に「発破をかけた」からではないのか…というような推察です。
もちろん単なる邪推でしかないのかもしれませんし、不用意な憶測は慎むべきではあるのでしょうが。
長々とすみません。率直かつ精緻な論説、いつも参考にさせて頂いております。
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