「平和構築」を専門にする国際関係学者

篠田英朗(東京外国語大学教授)のブログです。篠田が自分自身で著作・論文に関する情報や、時々の意見・解説を書いています。過去のブログ記事は、転載してくださっている『アゴラ』さんが、一覧をまとめてくださっています。http://agora-web.jp/archives/author/hideakishinoda 

2025年07月

 篠田英朗『地政学理論で読む多極化する世界:トランプとBRICSの挑戦』(かや書房)を、730日に公刊した。https://www.amazon.co.jp/%E5%9C%B0%E6%94%BF%E5%AD%A6%E7%90%86%E8%AB%96%E3%81%A7%E8%AA%AD%E3%82%80%E5%A4%9A%E6%A5%B5%E5%8C%96%E3%81%99%E3%82%8B%E4%B8%96%E7%95%8C%EF%BC%9A%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E3%81%A8BRICS%E3%81%AE%E6%8C%91%E6%88%A6-%E7%AF%A0%E7%94%B0%E8%8B%B1%E6%9C%97/dp/4910364854

 『戦争の地政学』(講談社新書、2023年)で扱った「二つの地政学理論」で、トランプ大統領の思想やBRICSの志向する政策の特徴を分析したものだ。おかげさまで、『戦争の地政学』は、Springerさんから来年には英語版を公刊する予定だ。さらに、台湾でも翻訳版が出版される予定である。今回の『地政学理論で読む多極化する世界』は、現代世界の時事問題を扱う一般向けの書として位置付けているが、それにしても理論的な視点を体系的に応用する姿勢は貫いた。

 キーワードとなっているのは、「多極化する世界(multipolar world)」だ。これはBRICSが首脳会談の成果文書などで用いる概念である。ロシアの「新ユーラシア主義」、中国の「中華思想/一帯一路」、インドの「ヒンドゥー至上主義」といった概念を参照しながら、主要なBRICS構成諸国の思想的傾向を、「大陸系地政学理論」の視座を援用しながら、分析した。

 さらに『地政学理論で読む多極化する世界』では、トランプ大統領が持つ「新しい19世紀」と呼ぶべき思想傾向を、「モンロー・ドクトリン」「アメリカン・システム」「マニフェスト・デスティニー」などの概念を参照しながら、分析した。それらは結果的に、「多極化する世界」との親和性を持っていく。

 日本の国内政治にも影響が出てきている国際的な思想傾向の現象を、より一般性の高い言葉で言い換えれば、「リベラル国際主義」の退潮の後に生まれてきた、「反グローバル主義」の思想が、「多極化する世界」を用意している、ということだ。

 「自由民主主義の勝利」の物語によって象徴されるバラ色の冷戦終焉後の世界のイメージは、今や完全に過去のものとなりつつある。それは単に理想主義的すぎて実現しなかったのではない。
 一握りの「グローバリスト」のエリートたちに都合の良い「新植民地主義」あるいは「文化帝国主義」が、それぞれの地域の土着の「国家」あるいは「文明」の独自性を無視した。そのため、世界のいたるところで反発を招いている、というもう一つの物語が、力を得ている。
 「民主主主義の輸出」を通じた「ネオコン」主導の「対テロ戦争」の幻想が、信頼性を完全に失った。その後の時代に、必然的に「多極化する世界」のビジョンが力を持ち、現実の国際政治も動かしている。

日本政治における新興政党の勢力拡大も、こうした世界的な現象と、無関係ではない。巷では、「・・・べきだ」「・・・してはならない」論ばかりが目立つが、まずは冷静に、国際社会全体の動向を見据えながら、日本政治の流動化の性格をとらえていく視点も必要である。

 

国際情勢分析を『The Letter』を通じてニュースレター形式で配信しています。https://shinodahideaki.theletter.jp/ 「篠田英朗 国際情勢分析チャンネル」(ニコニコチャンネルプラス)で、月二回の頻度で、国際情勢の分析を行っています。https://nicochannel.jp/shinodahideaki/  

 参議院議員選挙が始まる前に、「日本政治はいよいよ本格的な流動化の時代に入ったか」という題名の記事を書いた。https://agora-web.jp/archives/250707173010.html

 参議院選挙の結果は、ほぼ予想通りとなった。多数派を形成する安定した連立政権も組めない諸政党が乱立する現状は、先行きが読めないものだ。

 野党支持者と思われる方々が、「石破辞めるな」の運動を熱心に開始したことが話題だ。もともと石破首相は、「党内野党」と言われていた時期から、世論調査では首相候補として一番人気だった。これは当時から、自民党支持者以外の間で、他の自民党の首相候補と比して人気が高かった、ということを意味していただろう。したがって今の状況は、予測されていたことだ。

 自民党の政治家たちは、当然、複雑な心境だろう。一方では、非自民党支持者の間で人気が高いからといって、それを理由にして石破首相を支え続ける気がしないとすれば、それはわからないでもない。

しかし、現状は、連立相手の公明党や、野党第一党の立憲民主党を中心にした大連立に可能性を視野に入れる必要性がある。石破首相という選択肢には合理性がある、ということだ。老舗の政党である立憲民主党には、自民党側から見て顔なじみの議員が多く、政策ごとの協力は、計算が立つところもあるだろう。

 石破首相ではない人物を選ぶ場合、特に右派のイメージが強い高市氏を選ぶ場合、石破首相を消極支持する野党との協力関係を築けない恐れが出てくる。安倍首相の時代には、右派の政党の台頭を許さず多数派を獲得できていたが、現状は全く異なる。野党との協力が必至だ。石破首相以外の人物を首相に据えて、野党とうまくやっていけるのかは未知数の度合いが高いだろう。

 石破首相がトランプ大統領との間で達成した関税交渉も、「文書化しない」状況で、日米で全く異なる解釈が表明されている。先行きの不透明感の強さを象徴する事例であると言える。

 「本来のあるべき政党政治は・・・」、といった切り出しで、様々な方々から、異なる色々な意見が出てきそうである。しかし日本は今、現実の現状の中で、このような状況になっている。むしろ焦りは禁物である。まずは現状の停滞感・焦燥感に耐える覚悟を定めるしかない。

 

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 参議院選挙が終わった。私自身は、雑感を「The Letter」に別途書いたとおり、日本社会の閉塞感が反映された結果だと受け止めている。https://shinodahideaki.theletter.jp/posts/4e912440-65db-11f0-9179-4b253e355c87?utm_medium=email&utm_source=newsletter&utm_campaign=4e912440-65db-11f0-9179-4b253e355c87

 日本社会に蔓延した閉塞感は、現実の裏付けのある現象だ。一朝一夕には解消しない。閉塞した状況に耐えていく気持ちを定めるしかない。

 閉塞していない、などと偽りの主張をする政党は、駆逐されていくだけだろう。

政策部分で大言壮語が多いと批判されている新興政党の場合には、「日本は閉塞している、何とかしなければならない」という実直な状況認識にもとづくアピールが、共感を呼んでいるのである。

 閉塞を受け止めながら、それでもなお前に進んでいくために、まず立ち向かわなければならない最も直近の議題は、アメリカとの関税交渉だろう。

 自民党は、参議院選挙に、2万円給付といういかにも小手先の物価高対策とあわせて、「なめられてたまるか」と叫んだ石破首相の対米強硬姿勢のアピールで臨んだ。結果的に言えば、全く功を奏さなかった。選挙戦中にベッセント財務長官の訪日があったが、万博訪問が主目的だったということで、関税交渉の進展の糸口を見つける努力すら行われなかった。

アメリカとの良好な関係の維持は、自民党の生命線である。長期にわたる日米同盟体制への国民の信頼なくして、自民党の長期政権は生まれえなかった。現在の日米関係の停滞感は、石破内閣への不信をこえて、日本政治全体の停滞感につながっている。

81日の25%の米国の対日関税の導入日が近づいてきている。赤沢経済再生相が8回目の渡米を行っている。多くの人たちが指摘しているように、大臣が8度も渡米するというのは、いかにも交渉が難航していることを印象付ける。ベッセント財務大臣が来日した際も、交渉に関することは口にしない代わりに、「おもてなし」に終始したというが、「汗をかいている」アピールで、人情に訴えるやり方は、奏功する見込みが乏しい。

とはいえ、参議院選挙が終わった直後の交渉だ。アメリカ側も、参議院選挙後の日本政府の新しい態度に期待感があるだろう。選挙結果への悪影響を詮索することなく、しかし長期的な日本の国益を考えて、大きなまとめをする最後のチャンスだと思われる。

私は、これまで交渉の行方に悲観的である旨の文章を何度書いてきた。それは主に、日本国内の主戦論の雰囲気を感じてのことだ。日本の学者・評論家層の間では、「トランプはバカだ、支離滅裂だ、ただそれだけだ、こんな奴に屈してはいけない」といった好戦的な勢いが強い。恐らく選挙でも、参政党の支持者に対して、同じような侮蔑的な言葉を投げかけていただろう。親露派とみなす人々に対しても同じだ。

こうした「専門家」の方々が、どれくらいの数の気に入らない勢力に、次々と侮蔑的な言葉を投げかけて、特定ファン層にSNSで訴えかける毎日を過ごしていらっしゃるのかまでは、よく知らない。しかし、日本でスマホに向かって、「ロシアは負けなければならない、参政党は負けなければならない、トランプは負けなければならない」と叫び続けていても、現実は何も変わらない。

私自身も、トランプ大統領が素晴らしい人物だとか、トランプ大統領の政策は成功を約束されているとかと言いたいわけではない。ただ、全てをトランプ大統領の気まぐれなどの個人的な性癖に還元してしまうのは、危険だ、と感じている。背景に存在している、より構造的な事情を見なければならない。

 構造的な事情とは、アメリカが抱える空前の規模の財政赤字であり、それと連動している貿易赤字だ。この問題の深刻さは、トランプ大統領がどれほどの奇人であったとしても、個人的な性癖などによっては全く説明することのできないものだ。

 もちろん、日本の財政赤字も深刻である。アメリカと比して、経済の疲弊の度合いも高い。両国ともに、全く余裕がない状態である。

 だからこそ、引くに引けない状態に陥っている事情もある。他方、何でもいいから、少しでも成果のあるやり方でまとめて、損切りをしなければならない事情を抱えているとも言える。

 アメリカ側も、日本と交渉をまとめた、と宣言したい大きな動機付けを持っている。日本の側も同じだ。交渉を完結させる、ということに現実的な目標を置き、苦渋の政治判断をする時期が迫っている。

 

 

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 参政党のさや参議院議員候補がロシア政府系メディア「スプートニク」に出演したことが引き起こした騒動は、不思議な波紋を引き起こした。いくつかの多様な様相がからみあっていたと思われる。

 第一は、アンチ参政党の方々が飛びついたこと。第二は、選挙戦中の事情がかかわったこと。第三は、「ウクライナ応援団」の方々の盛り上げだ。私としては、第三の位相が、第二の事情と結びついた流れが、印象深かった。

 選挙戦中であることが、国会議員の方々の注目を集めた。維新の会、自民党、国民民主党の有力議員らが、ロシアの認知戦が日本で行われていて他党がそれに影響されていることを強く示唆するSNS投稿を行った。

https://x.com/hosono_54/status/1945385914404135296 

https://x.com/tamakiyuichiro/status/1944932890338574390

 中には「発信元」の信ぴょう性の国会議員による取扱が話題になった場合もある。

https://x.com/Maehara2016/status/1945691388647252322

https://note.com/kirik/n/n2e5c696d250f

https://x.com/ikedanob/status/1945865202018427242

 なお自民党、国民民主党、立憲民主党に所属する議員の中にも、過去に「スプークトニク」に出演したことがある者がいることも指摘されている。

 https://agora-web.jp/archives/250716031030.html

 さや候補を含めて、これらの議員の「スプートニク」出演時に爆弾発言が行われた、ということではない。したがって、スプートニクがロシア政府系メディアである点を、「一発アウト」事項と考えるか、そうでないかによって、出演そのものの是非に関する意見は変わってくる。

 そこで第三に、「スプートニク」を中心に、ロシアの「認知戦」が日本で遂行されている、といった話が広範に出回ることになった。実名で発言している評論家や学者層が堂々とそれを主張しているため、上述の国会議員の方々は、ついそれに引き寄せられてしまった、という面もあるだろう。

軍事評論家や国際政治学者の方々らが、SNSなどにおいて「ロシアとの戦争」が行われている、という認識を公に披露している。そのため、世論に影響を与えるためにかなり意図的に踏み込んでロシアの「認知戦」との「戦争」を受けて立つ、という覚悟が見え隠れする。

https://x.com/BooksKuryudo/status/1944819649490903479

 主要メディアも、この路線に相乗りしている。たとえば『日本経済新聞』は、「参政「ロシア選挙介入」疑惑で混乱 候補がロシア政府系メディア出演」という見出しの記事を書いた。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA161B80W5A710C2000000/

しかしこれは実際には、他国で起こったとされる過去の事例と、「他党はロシア政府の選挙介入に利用されているのではないかとの懸念」していることについて、長文で紹介しているだけの記事である。「SNSを通じた戦争」の「戦場」でも、さや候補が「スプートニク」の取材を受けた、ということ以外には、目新しい事実の発見などはなされていない。

 このまま新しい事実の解明がなければ、「ウクライナ応援団」ともいわれる日本の「専門家」やメディア層が、話を盛った、という事実だけが残りそうである。「SNSでのロシアとの戦争」に従軍し、勝利に向かって一丸となって世論誘導運動をしている気持ちになっていることが、その状況の背景にある、とも言えそうである。

 欧州では、「スプートニク」を閲覧することができない。「トランプを見限って日欧同盟を通じてウクライナを全面支援してロシアを駆逐する」という立場からは、そもそも「スプートニク」の活動を禁止すべきなのだ、という主張につなげたい気持ちがあるだろう。

 確かに、ロシアと事実上の交戦状態にある欧州では、反プーチン主義の思想にもとづく親ロ派の糾弾が激しい。そのことが各国で必ず選挙の争点になる。「ロシアの情報工作の影響を受けた」といった理由で、有力な大統領候補が立候補資格を取り消しされる事態も起こっている。

 もともと欧州には、こうした統制を、むしろ民主主義の名目で実施しようとする伝統がある。第二次世界大戦後のドイツでは、「戦う民主主義」という考え方が憲法体制に取り入れられた。自由の敵と認定する者の自由を奪う規定である。ナチズムの反省の下に取り入れられたのだが、ボン基本法の下で、西ドイツでは、冷戦中はファシズムのみならず、共産主義の思想も認められなかった。1956年、憲法違反としてドイツ共産党を解散させられた。

 今日の欧州では、ロシアに関する事柄は、ほぼ自動的に、自由の敵の事柄という認定になる。それどころか、今日のドイツでは、パレスチナとの連帯を訴える運動が、反ユダヤ主義として弾圧の対象となる。またドイツ政府機関は、極右政党とされるAfDを過激派認定している。

自由を否定する者の自由を制限するのは妥当として、誰がその制度の運用をするのかによって、様々な問題が引き起こされてくる。

この問題については、機微に触れる点もあるため、「The Letter」という会員制サイトのほうに詳述しておいた。https://shinodahideaki.theletter.jp/posts/8bc0c3d0-631a-11f0-a55b-cf1f5019b460?utm_medium=email&utm_source=newsletter&utm_campaign=8bc0c3d0-631a-11f0-a55b-cf1f5019b460

 

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 トランプ大統領が、81日の一斉関税引き上げで、一連の関税交渉を終了にしたい意向を持っていると伝えられている。日本に対する関税率は25%だ。

 これに対して、日本国内では、石破首相の「なめられてたまるか」発言に代表される感情的な反応が目立つ。残念ながら、学者・評論家層が、「トランプはバカだ、ハチャメチャだ、言うことを聞いてはいけない、徹底抗戦あるのみだ」といった威勢のいい主張で、率先して感情論を冗長してきた経緯がある。石破首相が、あえて選挙演説中に「なめられてたまるか」発言をしたのも、トランプ大統領を人格的に揶揄することが一般的になっている「専門家」層の風潮をふまえて、感情論に訴えることが、世論へのアピールにつながる、と計算したからだろう。

 目を引くのは、トランプ大統領のウクライナを軽視する姿勢を見て、「アメリカを見限って欧州と連帯してウクライナへの支援を増強して、ロシアを駆逐しなければならない」といった主張をしてきた学者や評論家の方々までが、「関税でもトランプに譲歩してはいけない」といった類の主戦論の議論を展開していることだ。政治的立ち位置にもとづいて、なんとかして世論に影響を与えようと奔走している姿が目に付く。

 非常に危険な状況である。

 確かにトランプ大統領は、際立った個性を持つ人物である。しかし空前の規模の財政赤字と貿易赤字を抱えるアメリカが、必死の方策で赤字削減のための政策をとろうとすること自体は、決して破綻した態度とは言えない。もちろん粗削りな高関税政策が、政策として成功するのか否かは、別次元の検討課題として存在する。しかしそれにしても、「すべてはトランプが奇人であるために発生している事柄である、そのような奇人の奇行に屈してはいけない」といった主張が、的を射ていると言えるわけではない。

 アメリカの巨額の赤字は、極めて構造的な問題であり、個人の性癖によって発生している問題ではない。

 私は、別途トランプ大統領の高関税政策を、19世紀アメリカに存在していた高関税「アメリカン・システム」に思想的淵源を持つものだと説明してきている。トランプ大統領自身が、そのことを何度も明言している。
https://www.amazon.co.jp/%E3%80%8E%E5%9C%B0%E6%94%BF%E5%AD%A6%E7%90%86%E8%AB%96%E3%81%A7%E8%AA%AD%E3%82%80%E5%A4%9A%E6%A5%B5%E5%8C%96%E3%81%99%E3%82%8B%E4%B8%96%E7%95%8C-%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E3%81%A8BRICS-%E4%BB%AE-%E3%80%8F-%E7%AF%A0%E7%94%B0%E8%8B%B1%E6%9C%97/dp/4910364854

 しかし、依然として日本国内では、「そんな説明はいらない、要するにトランプが奇人だということだ、ただそれだけのことだ」、という風潮が、あまりに根強い。「専門家」と称する学者や評論家層が、繰り返し現れては、メディアやSNSでその種のことを主張し続けている。

 このような世相の中では、理知的な計算に基づいた交渉戦略を練って、現実的な落としどころの確保をもって一定の成果としていくような態度をとることは、極めて難しい。

 私は日米関税交渉の行方には当初から悲観的である。参議院選挙終了後に、「専門家」及び大衆への迎合的な態度を、石破内閣が改めていく可能性もないわけではないとは思う。しかし基本線としては、8月以降の日本のさらなる停滞と迷走は、折り込み済の予測としておかなければならないようだ。

 

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